地獄の映画録

「ここは地獄なのかよクソ!」が口癖の映画レビューです

映画録

「神々のたそがれ」

遺作にして大作、そして怪作 アレクセイ・ゲルマン(1938-2013)はロシアの映画監督。生涯に残した作品は「道中の点検」(1971)、「戦争のない20日間」(1976)、「わが友イワン・ラプシン」(1984)、「フルスタリョフ、車を」(1998)、そして遺作となっ…

「コングレス未来学会議」

現実と仮想、どちらに生きるか 「惑星ソラリス」で知られるスタニスワフ・レムの原作「泰平ヨンの未来学会議」を「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督が映画化。未来のハリウッドを舞台に実写とアニメーションを駆使して描かれるドラッグムービー。 実…

「ラブ&ピース」

©「ラブ&ピース」製作委員会 人と亀の織りなす愛の特撮コメディー 近頃やけに制作ペースの早く、評判もまちまちな園子温監督の新作。だが今回は原作ものではなく、「地獄でなぜ悪い」に続くオリジナルと来たら期待は高まる。 正直、あらすじも聞かず、予告…

「百万の眼を持つ刺客」――愛が人類を救う?インターステラー顔負けのB級SF

開始1分、パッケージ詐欺 半裸の美女に襲いかかるおぞましい怪物。 THE BEAST WITH 1,000,000 EYES! というインパクトのあるタイトル。 高架下の中古レコード屋(レコードが通路にまで平積みにされている)でこのDVDを発掘した時の胸の踊りようといったらな…

「her/世界でひとつの彼女」――代筆業という“中国語の部屋”

Siriと恋する近未来 「マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」など、へんてこな世界で悩み生きる人(かいじゅう)たちを描いてきたスパイク・ジョーンズの最新作は、人工知能OSサマンサ(声・スカーレット・ヨハンソン)が代筆業を営むセオドア…

「地獄の英雄」――巨匠ビリー・ワイルダーの早すぎた傑作

“人間の魂の値段についての映画” このブログのタイトルを「地獄の映画録」に決めた瞬間、最初に書くべきレビューの候補は3つあった。一つはもちろんフランシス・F・コッポラの「地獄の黙示録」。もう一つは最近のところで園子温の「地獄でなぜ悪い」。 前者…