地獄の映画録

「ここは地獄なのかよクソ!」が口癖の映画レビューです

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ソ連映画から読み解く政治的寓意性

映画をむしばむ検閲制度――「アンドレイ・ルブリョフ」 旧ソ連における検閲制度は、スターリンが独裁権力を持った1930年以降に厳しさを増し、そこでは新聞、書籍、雑誌といった印刷物ばかりでなく、映画、ラジオ、演劇、絵画、造形物、歌、ダンスなどあらゆる…

「百万の眼を持つ刺客」――愛が人類を救う?インターステラー顔負けのB級SF

開始1分、パッケージ詐欺 半裸の美女に襲いかかるおぞましい怪物。 THE BEAST WITH 1,000,000 EYES! というインパクトのあるタイトル。 高架下の中古レコード屋(レコードが通路にまで平積みにされている)でこのDVDを発掘した時の胸の踊りようといったらな…

「ノスタルジア」「惑星ソラリス」etc.映像詩人タルコフスキーの長編Blu-ray出そろう

入手困難からの一転攻勢 怒涛のBlu-ray化 今までタルコフスキーといえば、その知名度のわりにDVDの出荷枚数が少なく、2000年代初頭に発売されたDVDのほとんどが中古やオークションで10000円以上のプレミアをつけるという状況にあった。 今でこそBlu-ray化に…

「her/世界でひとつの彼女」――代筆業という“中国語の部屋”

Siriと恋する近未来 「マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」など、へんてこな世界で悩み生きる人(かいじゅう)たちを描いてきたスパイク・ジョーンズの最新作は、人工知能OSサマンサ(声・スカーレット・ヨハンソン)が代筆業を営むセオドア…

「地獄の英雄」――巨匠ビリー・ワイルダーの早すぎた傑作

“人間の魂の値段についての映画” このブログのタイトルを「地獄の映画録」に決めた瞬間、最初に書くべきレビューの候補は3つあった。一つはもちろんフランシス・F・コッポラの「地獄の黙示録」。もう一つは最近のところで園子温の「地獄でなぜ悪い」。 前者…