「ディストピア映画20傑」にディストピア映画はいくつ入っているのか
ディストピア=暗くて暴力的な近未来?
ディストピア映画20傑が選ばれたらしい。どういった映画が選ばれているのかは実際に記事を参照してもらうとして、1位の「ブレードランナー」にしても3位の「AKIRA」にしても、これディストピア映画だったのか?という疑問を呈したくなる選出となっている。
ディストピアものの定番といえば、表題と同じ年に映画化され、20位にもランクインしている「1984」。体制の監視下におかれ、人間らしい活動が制限されながらも、幸福な生活を送っていると信じ込まされる管理社会。偽りのユートピア。
wikipediaには、その特徴として次のように記されている。
平等で秩序正しく、貧困や紛争も無い理想的な社会に見えるが、実態は徹底的な管理・統制が敷かれ、自由も外見のみであったり、人としての尊厳や人間性がどこかで否定されている。
「ブレードランナー」において黒幕的な役割を担うタイレル社は一企業。「AKIRA」には政府よりも軍部が関わってくる。確かに階級や貧困、抑圧といったものはありそうだが、上部組織から積極的に自由が奪われているとは感じにくい。
7位の「マッドマックス2」なんてもはや無政府状態だし、15位の「12モンキーズ」や19位の「バトル・ロワイアル」も、作品の大筋がそういった社会状況とは無縁のところで展開する。
別にジャンル論争をするつもりはないけど、近未来が舞台の暗くて暴力的な映画なら全部ディストピアだろ、とか考えてそうじゃないですか? この結果を見るに。
というか16位の「審判」ってカフカのをオーソン・ウェルズが映画化したやつですよね。そんなものまで含めていたら、今の世の中だってよっぽどディストピアですよ。
むしろ明らかにディストピアもので、知名度もある「Vフォー・ヴェンデッタ」や「リベリオン」辺りが入っていないのは……まあ、映画の出来としては納得できても、せっかくテーマに沿っているのだから、入れてあげてくださいと思う。
何はともかく20本のうち半分ちょっとしか見てない人間が言うのもアレなので、つべこべ言わずにちゃんと見ますね。
ちなみに僕がこの中で一番好きなのは「ゼイリブ」です。